国内のほとんどのゴルフ場が集客方法に悩みを抱えています。集客方法について基礎知識がないまま闇雲に取り組んでも、経費がかさみ会社の利益を圧迫してしまう結果になりかねません。経費を最小限に抑えゴルフ場の来場者数を増加させるにはどのように取り組むべきでしょうか?
集客状況を確認し、課題を明確化する
集客課題を抱えるゴルフ場ですが、課題はゴルフ場ごとに異なり、同じ課題なんて1つもありません。まずは課題の明確化が重要です。集客課題が見えないとどこに投資したらいいのか見えてきません。ただでさえ利益を出しづらいと言われるゴルフ場運営です。来場者数を伸ばすための原資も限られているはずです。投資する対象を見誤るとただの無駄遣いになってしまいます。
①来場者構成を分析する
まずはゴルフ場の来場者の構成を分析する必要があります。来場者構成を確認する項目は以下のものが挙げられます。
- メンバー、ビジター構成比
- メンバーシップの場合はメンバーの稼働率
- 男女比率
- 世代別構成比
- 70歳以上構成比
4半期ごと(1月〜3月、4月〜6月、7月〜9月、10月〜12月)で上記の構成比の違いを確認しましょう。日本は四季があるため、シーズンによって来場者の構成比が大きく変わる場合があります。例えば年間来場者のうち4割が70歳以上の高齢者だったとしても、7月〜9月の夏のシーズンだけを見ると70歳以上のゴルファーの来場比率が1割〜2割に落ち込んでいる場合があります。40℃に迫る猛暑のなか高齢者に対してプロモーションをかけたとしても売り上げとして返ってくる可能性は低いでしょう。
的確はプロモーションをかけるには、第一に来場者の構成比、属性を明確化する必要があります。
②属性ごとの予約経路を調べる
各属性ごとの構成比を調べたら、次に必要となるのが各属性ごとの予約経路です。ゴルフ場の場合の予約経路とは大きく3つです。
- 直接電話で予約する人
- ゴルフ場のホームページから予約する人
- GDO、楽天GORAなどのポータルサイトから予約する人
上記の予約経路の構成比を調べる必要があります。仮にゴルフ場の年間来場者数が4万人だった場合、電話予約、自社ホームページ予約、ポータルサイト予約の比率を調べましょう。さらに、細分化し各顧客属性ごとにどの予約手段を使って予約してくるゴルファーが多いのか分析します。
ゴルフ場によって電話予約:自社ホームページ予約:ポータルサイト予約の比が、8:1;1のようにほとんどが電話予約でWEB予約の活用ができていないゴルフ場もあれば、2:1:7のようにゴルフ場固有の電話予約とホームページ予約が全く機能せず、ポータルサイトに頼りきりとなっているゴルフ場もあります。
この時点ではどのような方策を取っていくか考えず、まずは客観的な現状分析を行う必要があります。
力を入れる分野を特定する
上記まででゴルフ場の来場者の属性、構成比、予約経路の分析ができたと思います。ただ、上記に置いて電話予約の比率が少ないから電話予約を強化しよう!とか、WEB予約の比率が高いからWEB媒体へ投資するのが売り上げへの見返りが大きいという判断になるとは限りません。
ゴルフ場ごとに強みや弱みが異なります。それらを分析した上で強みをさらに伸ばしていくのか、弱点を克服していくのか判断していく必要があります。
今のゴルフ場の集客施策の問題点は各ゴルフ場が同じような取り組み一斉に行いゴルフ場ぞれぞれの特徴がなくなってしまっている点です。ゴルフ場ごとに魅力が異なれば当然集客施策も違ってくるはずなのに、近隣のゴルフ場の成功事例を真似をするということが続いた結果、そのゴルフ場が本来持っていた特徴が埋もれてコモディティー化してしまっているのが現状です。
自分のゴルフ場の強みと弱みを分析した上でゴルフ場の目指す姿を描いてみましょう。
- メンバー主体の運営⇨メンバーへのサービスを充実させ年間来場3万人を目指す
- ビジター主体の運営⇨エリアのブライスリーダーを目指す
- カップル、夫婦の集客に特化⇨バック比率を下げる分、単価をあげる
上記のような目指す姿を明確にすると打ち手が見えてきます。
ゴルフ場の強みや弱みを客観的に分析するにはSWOT分析を活用しましょう。
S:ゴルフ場の内部的な強み(例:スタッフの接客の評判がいい)
W:ゴルフ場のバイブ的な弱み(例:運営会社に資金力がなく販促費が限られている)
O:外部環境からくる強み(例:高速道路のインターから近い)
T:外部環境からくる弱み(例:近隣に価格の安いゴルフ場が数コースある)
ゴルフ場の強みを磨く
上記のSWOT分析を通して、ゴルフ場の強みと弱みが明確化したと思います。そして来場者数を伸ばすためにやっていくことというと2つです。
- ゴルフ場の弱点を強化していく
- ゴルフ場の強みを伸ばしていく
本来上記の2点を平行して実施していくわけですが、ゴルフ場の場合は強みを磨くことに専念しましょう。ゴルファーにとって供給過多状態の数あるゴルフ場の中から、ゴルファーに見つけてもらう必要があります。見つけてもらうには何か1点でも尖る必要があります。弱みを強化し平均点に近づけたところでお客さんからすると印象に残らない普通のゴルフ場です。
それよりも、接客は少し残念だけど、コースセッティングがハードで競技前の練習に最適なゴルフ場、近隣のコースより金額は高いけど南国調で夫婦やカップルでいくにはオススメのゴルフ場など、1つのニーズに対しゴルフ場選びの候補に上がるように強みを強化していく必要があります。
上記までで強みを明確化すれば、それにあったプレースタイルや運営スタイルを打ち出していきます。また打ち出した運営方針をどのようにゴルファーに伝えるかも重要です。伝える方法としては口コミ、紙媒体広告、WEB媒体広告、SNS等が挙げられます。闇雲に広告を掲載しても狙った顧客を獲得することができませんし、費用もかさみます。自分のゴルフ場のイメージにあった広告戦略を取っていく必要があります。
- 口コミ
硬派なゴルフ場、隠れ家的ゴルフ場は大々的な広告は出さず口コミの自然拡散を狙う - 紙媒体広告
50歳以上の男性客をターゲットにする場合は紙媒体と親和性が高い - WEB媒体広告
広くビジターや新規顧客を獲得していきたい場合に利用
上記はあくまで一例です。ゴルフ場の集客ターゲットとなる顧客はどの媒体に興味を示しやすいのかを検討してみましょう。
従業員教育に投資する
上記の通り、ゴルフ場の来場者属性とその比率を分析し、ゴルフ場の強みと弱みを明確化にする。そして強みを前面に押し出し近隣のゴルフ場と差別化することができれば来場人数は間違いなく増えていくはずです。
しかし来場人数が増えて、軌道に乗りかけたかなと思った時に落とし穴があります。来場人数を伸ばそうとする9割以上のゴルフ場で起こることです。それは、従業員からの反発です。
これまで来場人数が少なかったゴルフ場に連日お客さんがくるようになると、現場で働く従業員の方は忙しくなります。最初は頑張ってみても次第にしんどくなってきてしまうのが現状です。それも当然で、給与が同じだったら忙しいよりも暇な方が楽に決まっています。基本的に今自分の下で従業員として働いているゴルフ場のスタッフは『給与が同じなら暇な方がいい』という考えて働いていることを肝に命じておきましょう。ゴルフ場の上層部だけが張り切っても現場がついてこれなくなります。
現場に不満を持たせずやっていくには、来場人数が増えたら従業員の数を増やして業務を再分配するのが一番手取り早い方法ですが、地方のゴルフ場では新たに従業員を雇用するのはなかなか難しいでしょう。
それであれば少々の忙しさには耐えられるようなモチベーションを醸成しておく必要があります。現在、従業員教育に力を入れているゴルフ場はほとんどみられません。従業員全員に研修を用意するのは費用的に難しいかもしれませんが、現場のリーダー格となる従業員1名からでも従業員教育に力を入れていく必要があります。
ゴルフ場の集客に関する相談は以下の問い合わせよりご連絡お待ちしております。