ゴルフ場利用税を廃止するか否かについては国会などでも議論に上がるほどです。ゴルファーはゴルフ場利用税がなくなって欲しことは間違いないですが、立場によってゴルフ場利用税に対する考えも違います。それぞれの立場別にみていきましょう。
ゴルフ場利用税が大きな税収となっている都道府県
ゴルフ場利用税は地方税に分類されることはご存知でしょうか?
そのため都道府県によって利用税の額は大きくことなります。ゴルフ場で会計後の利用明細をみるとだいたい450円~12,000円程度徴収されています。これは消費税と同じように、ゴルフ場が代理徴収し後日都道府県に納税するという形をとっています。
地方の衰退が叫ばれる中、ゴルフ場利用税は地方財政にとって大きな税収の1つです。年間で一体どれぐらいの税収となっているのか試算してみましょう。
【茨城県の試算】
茨城県のゴルフ場数は約130コース。
ゴルフ場利用税は平均500円としましょう。
130コースの年間平均来場者が38,000名と仮定し、約2割が免税対象者とします。
するとゴルフ場利用税での税収はどうなるでしょうか?
500円×38,000名×0.8×130コース=1,976,000,000円
実際には1つのゴルフ場で27ホールあるゴルフ場や、プレー単価の高いゴルフ場の場合はゴルフ場利用税も高く設定されるので実際のゴルフ場利用税の税収はもう少し上振れるように思います。ゴルフ場利用税だけで約20億円の税収がある都道府県がゴルフ場利用税を廃止されたら財源の確保が大変になってしまいます。都道府県がゴルフ場利用税廃止に簡単に同意する訳がありません。
ゴルフ場利用税廃止を訴える政治家
前述の通り、地方自治体、都道府県の基本スタンスはゴルフ場利用税廃止に反対です。ではなぜ都道府県の代表である国会議員によって国会でゴルフ場利用税廃止について議論されるのでしょうか?
まさに選挙対策でしょう。ゴルファーにとってはゴルフ場利用税廃止という言葉はとても響きよく聞こえます。そしてゴルファー人口の分布をみると50歳以上の方が圧倒的に多く、日本の世代別人口分布にもよく似ています。(65歳以上でゴルフ場利用税は免税対象になります。)50歳から64歳の特定の人たちに問いかけるワードとしてはゴルフ場利用税廃止はまさにうってつけのキーワードということです。
ゴルフ場利用税が廃止になろうが関係ないゴルフ場
都道府県などの地方自治体や政治家の考えは容易に想像がつきますが、渦中のゴルフ場は一体どんな心境なのでしょうか?
ゴルフ場の考えは、『ゴルフ場利用税がなくなるとゴルファーからゴルフ場利用税がなくなった分安くしろと言われるだけ』というかなり後ろ向きなスタンスです。
ゴルフ場利用税廃止前のゴルフ場のプレー料金が1万円だったとすると、ゴルフ場利用税が廃止になった場合9,300円(ゴルフ場利用税700円計算)となります。渦中のゴルフ場としては、ゴルフ場利用税が廃止になろうが廃止にならなかろうがゴルフ場事態に入る実入りのお金は利益は変わらないので、どうなろうが関係ないというのが本音です。
ゴルフ場利用税廃止=ゴルフが安くなるは甘い
ゴルフ場利用税が廃止されるとゴルフ場のプレー代が安くなると考える人が多いかもしれませんがその考えは少し違います。前述のとおりゴルフ場は実入りのお金を増やしたいと常に考えています。
となると従来プレー代1万円の所からゴルフ場利用税700円分が廃止になったとするとどんなことが起きるのか?
ゴルフ場は実入りの金額を増やそうとします。ゴルフ場利用税が廃止になってもプレー代を1万円に据え置く、または9,700円など少し値引く(ゴルフ場にとっては本当は値上げ)。
上記のようなことが起こるためゴルフ場利用税が廃止されたとしてもプレー代がその分安くなるということはなくゴルフ場のプレー代総額は据え置きもしくは少し値下がりという形になると予想されます。