ゴルフ場の集客を考えていく上で重要となるのが、来場者数、プレー単価、売り上げのバランスです。これらのバランスを保ちつつ効率的に集客成果を挙げていく手法について紹介させていただきます。以下で紹介することを実践していけば効率的に集客成果を上がられます。
ゴルフ場について把握する必要がある
ゴルフ場の集客を考える上で、自分のゴルフ場がゴルフ市場に置いてどの様な立ち位置にあるのか把握する必要があります。自分のゴルフ場の立ち位置をしらなければ、本来価格を落として人数を入れる必要がなかったのに、値引きなどの戦略を取ってしまった。一時的に安くしてでもお客さんを入れるべきところ、単価を意識するあまりかんこ鳥が鳴くような状態になってしまった。自分だけの主観で判断すると間違った戦略を取ってしまう場合があります。以下にてゴルフ場業界の全体感を解説するので自分のゴルフ場は市場の中でどの立ち位置なのか考えてみましょう。(以下で紹介することはあくまで平均値です。ゴルフ場ごとに借地面積や、親会社のバックアップが異なるので一概には言えません。)
平均来場者数は3.5万人〜3.8万人(18ホール)
18ホールのゴルフ場における年間来場者の平均はおおよそ35,000名~38,000名と言われています。
多いと思いますか?
少ないと思いますか?
東京ドームの1日の収容人数が55,000名といわれています。ということは、東京ドーム1日収容人数>>>>ゴルフ場の年間来場者。18ホールのゴルフ場でどれだけ詰め込んでも年間7万人が限界と言われています。ただし、18ホールで年間7万人を詰め込むと連日のほぼ満員状態でプレーの進行がかなり遅くなります。
さてゴルフ場の経営状態を赤字と、黒字に分ける損益分岐点はどこにあるでしょうか。各ゴルフ場の単価や、固定費(借地料、メンテナンス費用など)によって変動がありますが、損益分岐点は年間40,000名(18ホール)が目安といわれています。27ホールの場合は、60,000名。36ホールの場合は80,000名といった具合です。
18ホールのゴルフ場で1年間の来場者数が4万人に満たない場合には、基本的に来場者数を増やして行く方向で考えないといけません。来場者数を増やさないことには単価をあげるのは至難の業です。
参考記事:
ゴルフ場の損益分岐点
ゴルフ場は箱物商売
ゴルフ場はホテルや航空券などと同じ様な箱物商売に分類されます。
※箱物商売とは、1日または1回あたりの収容人数が決まっている=売り上げの最大値が決まっている商売のことをさします。
ゴルフ場の1日あたりの最大組数を50組とした場合、1ヶ月で約1,500組が収容組数の上限値です。1,500組という限られた組数の中で打ち上げを最大化する方法は3つ!
- スタート枠の完売率を高める
できるだけ空枠を少なくします。 - 一人当たりの単価をあげる
一人当たりがゴルフ場に支払ってくれる金額を増やす努力を行います。 - 平均バック数を高める
一人当たりの単価を少し下げても平均バック数を高めることで組単価を取りに行く方法です。兵員バック数をできるだけ4名に近づける努力を行います
ゴルフ場の集客を考えるに当たって、上記の3点を意識しておく必要があります。
そして、上記で示したようにほとんどのゴルフ場が年間来場者数が4万人未満というのが現状です。となるとほとんどのゴルフ場ではプレー単価が多少下がることはあっても、来場者数を増加させる方策を講じる必要があります。
つまり、1番のスタート枠の完売率を高めるということです。枠の完売率は安売りすれば簡単に上がるというものでもありません。ゴルフ場ごとに課題は異なるので、安売りで成功するゴルフ場、広告投資で成功するゴルフ場、独自の特典やオープンコンペなどで成功するゴルフ場など様々です。
ゴルフ場にとって適切な方策が取れるようにゴルフ場の課題を明確化させていくことが重要です。
ゴルフ場の課題を明確化する
ゴルフ場の損益分岐点となる来場者数は4万人が目安という中で、全国のゴルフ場の来場者数の平均が35,000名~38,000名ということは、ほとんどのゴルフ場で黒字化ができていないということになります。そのため多くのゴルフ場ではできるだけプレー単価を落とさず来場者数を伸ばしたい。そして利益を出したいと思っています。
もちろん、人数・単価・売上の3つを共に達成させることができれば文句はありませんが、来場人数を伸ばす際は、人数と売上を重点におきましょう。ゴルフ場によくあるパターンとして一人当たりのプレー単価を気にするあまり、有効な集客策を取ることができず来場人数と売り上げが上がらないという失敗です。プレー単価ばかり気にして売り上げ目標が達成できなければ本末転倒です。
来場者の分析
まずはゴルフ場にきてくれているお客様に関する分析を行います。来場者の属性や構成比を把握することで、シーズンごとにアタックすべき客層が明確になります。
- 全来場者における世代構成
- 男女比率
- シーズンごとの来場者推移
ゴルフ場の評判について
供給過多の状態となっている数多くのゴルフ場の中から、ゴルファーに自分のゴルフ場を選んでもらう必要があります。そのためにはゴルフ場の評判はとても重要です。特に今では7割以上の人が購入の決めてとなる情報を“クチコミ”と答えています。GDO、楽天GORAのクチコミの確認は最低限。意外と見落としがちなのがGoogleで検索した時に出てくるクチコミです。ゴルファーが何を魅力と感じていて、何に不満を感じているのかゴルフ場集客のヒントがたくさん見られます。
- GDO、楽天GORAのクチコミ
- Googleのクチコミ
- 現場のフロント担当者に生の声を聞く
参考:
購買行動におけるクチコミの影響
経費について
利益=売り上げー経費です。どれだけ来場者数を増やして売り上げをあげたとしても、不必要な経費が使われていたら大きな利益を出すことができません。かといって削りすぎてもサービスの低下に繋がりかねないので一度仕分けする必要があります。
- 借地料
繊細な問題ですが、借地料の交渉も根気よくおこなっていく必要があります。 - 広告・宣伝費
投資効果がない広告を無意味に続けている例もたくさん - 食材費
レストランメニューにこだわるあまり高級食材を使い原価が高騰している例も見られます - 人件費
- 電気・水道・光熱費
上記の来場者の属性、ゴルフ場の評判、経費の使い道について分析し、明確にすることで売り上げを上げる集客策、より多くの利益をうむ集客策を講じることができます。
ポータルサイト予約を活用する
ゴルフ場の強みや課題点が明確になったら、具体的な集客策に落とし込みましょう。ゴルフ場の集客経路を大きく3つに分けると、電話予約、自社WEB予約、ポータルサイト予約に分かれます。そしてメンバーシップコースの場合はメンバー予約とビジター予約にも分かれます。
この記事はゴルフ場の来場者数を増やして売り上げを上げる目的のものなので、この目的を達成するにはポータルサイト予約を最大限に活用する必要があります。ポータルサイト予約は手数料がかかるので、手数料がかからない自社WEBや電話予約を増やしていきたいと思うゴルフ場もあるかと思います。売り上げを上げるにはポータルサイト予約の活用が必須となる理由を集客効率と売り上げの観点から説明します。
集客効率
集客効率とは、集客行為(新規、既存に関わらず)にかけた時間や費用に対しどれだけの来場者が得られるかという点です。集客効率が高いマーケットに時間と費用を投資したほうが短期的、中長期的にも来場者につながりやすいといえます。
集客効率の高さはそれぞれのマーケットが抱える母集団の大きさに比例します。まず電話予約、自社WEBを利用する可能性のある人とは、一度でも自分のゴルフ場に来たことがあるかつ、何度もリピートする意思のあるゴルファーです。大切なお客様なので蔑ろにするわけにはいきませんが、見方を変えると投資をしなくても来場する可能性があるゴルファーです。
来場者数を増やし売り上げを上げていくためには、新規の顧客、一度離れてしまって顧客にアプローチする必要があります。年間来場者数が4万人前後の単体のゴルフ場がアプローチできる母集団はかなり限られています(年間の累計来場者数が4万人だとユニーク人数は3万人前後と想定)。10年前まで来場データを遡ったとしてもゴルフ場としてアプローチできる人は10万人もいないと思います。
それに対しポータルサイトは何百万人という会員を抱えており大きな母集団に対しアプローチすることができます。その代わり集客手数料が発生しますが、営業パーソン2、3人ゴルフ場で雇っていると考えれば安いものです。
ゴルフ場単体で15万円の経費をかけて営業や広告宣伝を行うのであれば、適切にポータルサイトを利用し15万円投資すれば来場者を100名増やすことも簡単にできポータルサイト予約は集客効率が非常に高いツールと言えます。(ただしゴルフ場目線で適切に利用するのが困難なのでお問い合わせをおまちしてます。)
売り上げ
売上を向上させるには一人当たりのプレー単価を向上させる必要があります。
ところでゴルフ場のプレー単価を下げる1番の要因はなんだと思いますか?
- 直前割引
- 早期割引
- 無料券
などなどたくさんありますが、全て違います。答えはメンバー(正会員、年次会員)の来場です。メンバーの稼働率が高いゴルフ場ほど来場人数はたくさん入るのに単価がとても低い。忙しいだけで利益が全然上がらないなんてこともあります。ビジターでどれだけ値引きしようが基本的にはメンバー料金よりも高いので単価は上がる方向なんですね。
メンバーの来場頻度を増やして来場者数を向上させたところで売上への影響はかなり小さいのでビジターを取り込んでいく必要があります。ビジターを集客して行くにはポータルサイト予約の活用が欠かせないというのが現実です。
目的にあった広告投資を行う
多くのゴルフ場がフリーペーパーやネットへ広告を掲載しています。ですがほとんどのゴルフ場では広告をうまく運用できておらず広告効果を最大限に発揮できていないのが現実です。また、掲載しても効果のない無駄な広告も散見されます。これらを最適運用して行くことで経費を減らすことができるだけでなく、来場者数の向上、コースの強みのブランディングにも活かすことができます。
まずは必要な広告と不要な広告の分類を簡単にします。
必要な広告
- ポータルサイトへの広告(目的が明確で効果が出るもの)
- フリーペーパーへの掲載(1社)
上記2点だけです。基本的にそれ以外の広告は必要ありません。無駄です(笑)。電柱などのゴルフ場の広告を題しているゴルフ場もありますが今の時代カーナビがついていない車でゴルフ場にくる人なんてほとんどいません。
不要な広告
- フリーペーパーへの掲載(2社目以降)
- テレビ広告
- ラジオ広告
- 電柱、看板広告
- ポータルサイトへの広告(目的が不明確なもの)
- なんとなく付き合いで出稿しているその他広告
広告で無駄なものを上げたらきりがありません。ですがゴルフ場ではそれだけ無駄な広告がたくさんあります。
フリーペーパーの広告についてはかつてはいい広告商材でした。しかしネット予約が普及し広告費に対し集客効果が割に合わなくなってきたのが現状です。ただし紙媒体を好むゴルファーも一定数はいるので広告出稿は1社に絞って露出しましょう。
その他の広告についても何人見て(聞いて)、何人の予約が入ったのか不明確なものについては積極的に削っていきましょう。
ポータルサイトへの広告出稿の目的を考える
必要な広告と不要な広告に“ポータルサイトの広告”があります。ポータルサイトへの広告についてはこちらの記事で詳しく説明していますが、目的が明確で効果が期待できるものと、そうでないものがあります。
いい広告商品に紛れて、全く効果のない広告商材もあるので注意が必要です。
ポータルサイトの広告によって改善できることは以下の3点です。各ポータルサイトのセールスマンに言われるがままに出稿するのではなく目的にあった商材選びをしていきましょう。
- 多くのゴルファーに見られる
- 閲覧数からの成約率を高める
- 認知度を高めたブランディング
参考記事:
【ゴルフ場集客】インターネット予約の活用
自社ホームページの情報と充実させる
定期的にホームページの更新を出来ているゴルフ場は少ないかもしれませんが、実は結構重要な点です。ポータルサイトを通して予約してきた予約代表者、そして次回ラウンドの場所となるゴルフ場の名前を聞いた同伴者の方々は、かなり高い確率でそのゴルフ場を検索しホームページに来訪します。
しかし前述の通りゴルフ場のホームページはゴルファーが知りたい情報が充実していません。
コースレイアウト図は楽天GORAに負けているゴルフ場がほとんどです。以下に必要な項目を箇条書きにしておきます。もし全くの未記載でしたらすぐに項目を追加してください。すでに記載がある項目についても、お客さんから見た時に本当にわかりやすい情報となっているか読み合わせてみて下さい。
- レストランメニューの内容、値段、イチオシメニュー
- 練習場利用に関する情報
- 金額、球数、距離、打席数
- レンタルクラブの有無、予約方法、バリエーション
- クラブバスの有無、予約方法
- 分かりやすいコースレイアウト図
- コース内のトイレの位置
- 各ティー位置からの距離
- 分かりやすいコースレイアウト図
- WEB予約への導線
ゴルフ場の強みを伸ばす
ゴルフ場予約サービス(ポータルサイト)の出現によって近隣のゴルフ場が値段によって比較してされるようになっていきました。その影響でゴルフ場はそれぞれの個性を失いコモディティ化しているのが現状です。
ポータルサイト上で勝負している限り結局値段で選ばれるようなゴルフ場から抜け出せません。
お客様に特定のゴルフ場として認知してもらうには弱点を補強して平均点をあげるのではなく、強みをより一層発信していきましょう。デートならこのゴルフ場。初心者だけで行くならこのゴルフ場と言った具合に、自分のゴルフ場は何に力を入れていて、どんなゴルファに来てもらいたいのかを明確に発信していくようにしましょう!
ゴルフ場がSNSに手を出す必要はない
最近多いのがゴルフ場の名前でTwitterやFacebook、Instagramのアカウントを作って情報を発信しているゴルフ場。残念ながらほぼ無意味です。あなたがお客さんだった場合、特定のゴルフ場のリアルタイム情報を知りたいでしょうか?
知りたいのはおそらく来場頻度が高いメンバーさんぐらいです。そして、そのメンバーさんの平均年齢は70歳前後になっています。そうするとSNSを見てくれるはずがありません。近隣に数コース同グループのコースがあり、グループコースとしてお客さんを周遊させる目的ならやっていくいみはありますが、単体のコースアカウンでSNS場で情報を発信していく行為はほぼ無意味です。
閲覧者からすると宣伝としか受け取られないため、どれだけ投稿してもスルーされてしまいます。
SNSの利用法としては、ゴルフ場から発信するよではなく、来場者にゴルフ場のことを発信してもらうように仕向けることが重要です。時にはインフルエンサーと呼ばれるSNS上で発信力のある人に投稿を依頼するということも考えていくことが必要です。